地域包括ケア構築は、従来の囲い込み施策を超えていく
2012年施行の介護保険法で登場した地域包括ケアシステムですが、今や、介護分野を超え、医療・子育て・経済・町づくりも含めた、国の最重要課題になっています。背景には社会保障財源の効果的配分(抑制)があるため、今後も最重要課題であることに変わりはないでしょう。
そのような動きのなかで、私達は何を考えていけばよいのでしょうか。
他業者との連携強化
地域包括の影響範囲が大きくなりましたので、自法人ばかりで囲い込むのは困難になっていきます。他業者との連携強化で、地域ニーズに応えるための体制を構築し始めている法人が見られ、互いの利用者確保に寄与しているようです。医療法人と介護事業所、薬局などが連携の中心になっています。
ICTを活用した高齢者情報の共有
これは他業種との連携強化の手法に関することです。個々の法人レベルでは高度なICTの導入はコストの問題が大きく、活用は困難ですが、地域包括というレベルであれば、コストが分散し導入できる可能性があるようです。総務省がモデル事業として支援した例もあり、行政や公立病院を巻き込む地域包括ケアでは、ICTの利用が常識になっていくかもしれません。
過疎化地域での病院経営は大変厳しい状況ですが、ICTを活用した他業者連携強化で、稼働率を上げる努力をしている病院もあります。
在宅医療の充実と連携
在宅医療は、地域包括ケアの中でも最も重要な役割を担っているパートのひとつです。しかし、24時間365日対応は高いハードルであり、これを同業者の連携でクリアしている法人もあります。
特養での嘱託医として在宅クリニックが連携する例もあります。現在は、特養嘱託医による電話対応や往診には診療報酬がありませんが、福祉施設に対する在宅医のきめ細かい対応は、施設スタッフのサポートにも有効であるため、今後評価される可能性があります。同じように、高齢者住宅と在宅クリニックが連携して、医療依存度の高い地域ニーズに対応し、地域包括ケアの拠点と考える例もあります。
一法人の囲い込み効果が弱まる場合は、他業者との連携が不可欠です。その時、中小介護事業所は、私達はこれが得意!といえる何かがあってこそ、他業者からも必要とされます。まず自法人の資源を再確認しブラッシュアップしていきましょう。
※画像出展:厚生労働省